試行錯誤
❷試す
「試す」で着目するのは「欲求・目的」の要素です。砂場でカップを使って型抜きをして遊んでいる他の子どもの姿を見て、型ができることに気が付き自分もやってみたいと思う。そしてカップに砂を入れてひっくり返してみたとします。さらに、砂が崩れて完全な形ができない場合にも、同じ方法で繰り返す姿があったとします。この場合「砂で形を作りたい」という目的があり、型に砂をいれることはその目的を達成するための手段であると考えられます。「変化の意図性」に関しては、型ができるかどうかは砂の湿り具合や力加減などが関係していきますが、それらには気づかず、型ができたりできなかったりしても関係なく繰り返しているため、自分の意志で対象を操作しているというよりは、受動的で、対象に合わせて自分が変わっていると言えます。「自覚レベル」では、自分の意図が実現したかどうかの明瞭度は高くありません。このような姿を「試す」と名付けました。
「扱う」における子どもの内面
「試す」のプロセスに進む前に「❶扱う」の心の発達についてお話をさせて頂きます。「扱う」では、「面白そう」「あっ!」など、対象そのものへの興味から、関わってみたいという欲求・目的のようなものがうまれます。砂や水、ハサミ等の素材や道具など、周囲の環境そのものに興味をもった子どもは、その対象との関り自体を「面白い」と感じて関わります。言い換えると「扱う」においては、対象と関わる行為そのものが目的であると言えます。自らの欲求・目的によって対象と関わることに加え、対象そのものとの関り自体を楽しんでいるなら、対象が変化していくとその変化に合わせて自分の関わり方も変わってしまうことも多くみられます。「扱う」での気づきは、「あれ」「わぁ」というような感覚的なものが中心となり、欲求や目的がはっきりと定まっていないこともあり、自分の意図が現実したかどうかの自覚の明瞭度は低くなります。そもそも自分の意図自体が対象によって変わってしまうことも多いからだと考えられます。
このように、「扱う」は対象そのものに関わってみたいという欲求によって引き出された行為から、感覚、運動を中心とした気づきや学びが生まれてくるような様子が多く見られます。
「試す」における子どもの内面
「試す」では、興味をもって対象に関わろうとしたり実際に関わったりする中で「こうしたい」「自分も友達と同じようにしたい」などの目的が生まれる様子が見られます。その目的を達成するための手段として、関りは目的を満たすための手段となります。欲求・目的を満たすための手段として対象との関りが生まれますが、直感的な関りが多いために対象に合わせているという特徴がみられます。※この時点でも自分の意図が実現したかどうかの自覚の明瞭度も低いのではないかと考えます。
本日のまとめ
「扱う」⇒例えば、目的もなく砂が上から落とす、指でなぞるなど⇒「面白い」「あっ!」など気づきに成長する。その気づきが興味や目的のような感覚に成長する。⇒砂という対象物から砂遊びの型や、水、シャベルなどあらゆる道具という対象物への変わる。
「試す」⇒扱うの次の行動として、砂の型に入れてひっくり返すと同じ形になっている。これを何度も何度も繰り返すことにより、次の段階の「友達と同じように作りたい」などの目標へと変化していく。
今日はここまで!このプロセスが試行錯誤(見通しが持てる)にはとても大切なんです。
次は、「工夫する」です。